人間と協力して漁を行う「カワゴンドウ」とは?

イルカには高い知能があることで知られているが、なかには人間と協力して漁を行うことができるイルカが存在するのだ。


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カワゴンドウ(学名:Orcaella brevirostris)はマイルカ科カワゴンドウ属のイルカの仲間で、別名「イラワジイルカ」とも呼ばれている。体長は2~2.5m程で、これまで発見されている最も大きな個体は2.75m程度。体重は130kg以上で、寿命は約30年だといわれている。 

Irrawaddy dolphin-Orcaella brevirostris by 2eight
photo: Stefan Brending / , via Wikimedia Commons 
水面から顔を覗かせるカワゴンドウ。頭部は丸く,背中より後ろに小さな背びれがある。

イルカに見られるような吻(ふん)と呼ばれるくちばしのような部分が無く、丸い頭部が特徴的だ。スナメリやシロイルカも同じような特徴を持っているがスナメリやシロイルカはカワゴンドウとは違って背びれが無い。


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上の写真はシロイルカ。似たような顔つきだが,シロイルカは吻や頭が突き出ており,カワゴンドウと違って背びれが無い。

このイルカはなんと、人間と協力して漁を行う事が出来るのだ。漁師が音などでカワゴンドウを漁に誘うとカワゴンドウは先導して魚群を案内するという。カワゴンドウが魚群を追い立てて魚を集めると水面を叩いて準備ができたことを漁師に知らせる。続いて漁師が投網を放ち、文字通り魚を一網打尽にするのだ。

カワゴンドウが漁に協力する時としないときでは漁獲量が数倍近くも違うという。網から逃げた魚はカワゴンドウの方に向かってくるので、カワゴンドウは簡単に魚を捕らえる事ができる。知能が高いからこそ可能な相利共生なのだ。
余談だが、カワゴンドウとは別に同じマイルカ科にはオキゴンドウという種がいる。成体の体長が6m以上なのでこちらはクジラの仲間だ。人間と協力して漁を行うカワゴンドウとは異なり、皮肉にもオキゴンドウは人間が網にかけたマグロなどの身の部分だけをきれいに食べてしまうという。


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オキゴンドウもカワゴンドウと同様に知能が高く,ショーなどでも人気がある。全体的な特徴は似ているが,カワゴンドウとは異なり全身が黒い。英語ではシャチモドキ(False Killer Whale)と呼ばれ,シャチと同様に他のイルカを襲う事もある。

また、2005年にはオーストラリアカワゴンドウという新種が発見されており、カワゴンドウ属は現在2種となっている。こちらは目撃例が大変少ない希少種だ。現在カワゴンドウは絶滅の危機に瀕しており爆薬や電気を使った違法な漁により犠牲となるカワゴンドウが後を絶えず、IUCNではレッドリストに登録されている絶滅危惧種だ。

しかし2009年には野生生物保護協会(WCS)によりバングラデシュのマングローブ奥地で推定6000頭もの個体群が発見されたという。今後の保護活動と未解明な生態の研究が待たれる。

この記事へのコメント

んっj

漁ができるイルカがいるなんて初めて知った

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