母乳と牛乳の成分の違いとは?


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生まれたばかりの赤ちゃんは母乳だけを摂取して生きている。つまりは赤ちゃんにとって母乳は完全栄養食品であると言えるのだ。
母乳はそもそも血液から作られる。乳房に流れた血液は乳腺組織を通して母乳となり伝わるのだ。そのため,母乳は同じ人でも時間帯や季節,体調,出産回数,年齢など様々な要因でその成分量は変化するという。では,母乳にはどのような成分があるのだろうか?その違いを牛の母乳である牛乳と比較しながら確認してみよう。

まず脂質分であるが,これは母乳にもほぼ同じ量が含まれている。赤ちゃんは必要なエネルギーの約半分をこの脂質分から得ている。また,脂質分は脂溶性ビタミンなどの栄養素を溶け込ませる重要な役割も果たしているのだ。この脂質の組成や量は母親の食事の内容に大きく影響されるので授乳期間中の母親の食事には特に気を付けたい。

次に糖質を見てみよう。脳のエネルギー源となる糖は,赤ちゃんの脳や神経の発達に必要不可欠な成分で、牛乳の約1.5倍も多く含まれている。牛乳や母乳に含まれる糖質の主成分は乳糖(ラクトース) で、これが分解されて脳のエネルギー源であるブドウ糖(グルコース)と脳や神経組織の構成成分となるガラクトースになるのだ。牛乳を飲むとよくお腹を壊すという乳糖不耐症はこの乳糖をうまく分解できないために起きるが、生まれたばかりの全ての赤ちゃんにはこの乳糖を分解する酵素が備わっている。

たんぱく質については,人の方が少なく牛乳の1/3程度しかない。これは牛よりも成長速度が遅いからであり,生まれてからしばらくして歩けるようになる牛の赤ちゃんは人の赤ちゃんよりも多くのたんぱく質を必要としているのだ。同様の理由で,ミネラル分も人の母乳の方が少ない。

このように,母乳には赤ちゃんの発達に関わる多くの成分が含まれている。現在では母乳の成分が調整された人工調整乳もあるが、授乳行為そのものによって赤ちゃんの発達に必要なオキシトシンなどの化学物質が、赤ちゃんの体内で分泌されるため栄養成分に関わらず直接授乳してあげる方が好ましい。

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