紅茶が濁る「クリームダウン現象」が起きる理由とは?


Tea flickr photo by h0lydevil shared under a Creative Commons ( BY ) license

紅茶を淹れて,しばらく冷ますとミルクを加えたように濁ってしまう。これはクリームダウンやクリーミングなどと呼ばれ,古くから知られている。 この現象はなぜ起きてしまうのだろうか?

実は,この濁り成分は主に紅茶に含まれるカフェインとタンニンが結びついて温度低下に伴って析出し,数ミクロンの球状となって沈殿したものなのだ。実際にはテアフラビンやテアルビジン,クロロフィル,紅茶の脂質成分や無機成分なども生成に関与しているとされる。

特にタンニンは紅茶の渋み成分であり,高級で味わい豊かな紅茶ほどより多く含まれているがその分クリームダウンも起きやすくなってしまうのだ。クリームダウンによる風味や品質の変化はあまりないものの,やはり濁った紅茶はあまり美味しそうではない。では,どのようにしてクリームダウンを防げばいいのだろうか?

一番簡単な方法は砂糖を5%~10%ほど入れることだ。これは砂糖がカフェインとタンニンの結びつきを阻害するため,クリームダウンが起こりにくくなる。
タンニンの溶出量が少ない茶葉を選ぶ方法もある。例えば,アイスティーなどによく用いられるアールグレイはタンニンの溶出量が少ないため冷やしてもクリームダウンが起こりにくい。他にタンニンの溶出量が少ないものにはキーマンやダージリンなどがある。

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また,紅茶を淹れる水は硬度の低い水が良いだろう。水に含まれるマグネシウムやカルシウムなどのミネラル分はクリームダウンを促進させることが確認されているからだ。
アイスティーを作る際にクリームダウンを抑えたい場合は濃い紅茶を作り,氷を入れた容器に少しずつ注いで急激に冷やすことでクリームダウンを抑えることができる。
アインシュタインは,紅茶に入れた砂糖の考察からブラウン運動の理論を思いついたのだという。何かに行き詰っている時は,澄み切った紅茶を飲むと思いがけない解決策が浮かぶかもしれない。

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