銃不法所持の一卵性三つ子の容疑者、DNA鑑定で特定できず


190122-N-KA046-1230 flickr photo by CNE CNA C6F shared with no copyright restrictions using Creative Commons Public Domain Mark (PDM)

犯人が防犯カメラに写っていたなら、その姿を元に容疑者の中から犯人を割り出すことは難しくないだろう。しかし、もし防犯カメラに写っていた犯人が、顔も体格もそっくりな3つ子のうちの「誰か」だったとしたら――

2017年4月、ロンドン警察はある犯罪組織集団から短機関銃1丁、半自動式拳銃1丁、回転式拳銃1丁、弾薬を押収し、この銃器を所持していた8人について追訴していた。銃器からはDNAが検出されたが、そのDNAについて詳しく調べると、そのDNAの持ち主は一卵性の3つ子のうちの「誰か」であることが明らかとなったのだ。



ITV Londonのツイートより、リッキー・ガブリエル被告とラルストン・ガブリエル被告、レイス・ガブリエル被告の3人。いずれもセミプロのサッカー選手であるという。

DNA鑑定では、個人によって異なる13か所のDNA領域を比較し、犯行現場に残されたDNAが容疑者のDNAと完全に一致するかどうかを調べる。しかし、一卵性の場合では基本的に遺伝情報が全く同じであるために、見つかったDNAが3つ子のうち、誰のDNAなのかを特定することができなかったのだ。



このような状況下になっても、ロンドン警察は諦めなかった。捜査当局は携帯電話の通信記録や監視カメラなどから得た情報から、この3人を徹底的に調査した。その結果、なんとこの3人全員が、今回の銃不法所持事件に関与していることが明らかになったのだ。ロンドン警察が提出したこれらの証拠は裁判で認められ、3つ子のうち2人が違法な銃器所持で禁固刑14年、1人が違法な銃器所持と他3つの罪で禁固刑18年が言い渡されたという。
ロンドン警察は「DNAと外見が同一であることを利用し、当局の追及から逃れようとしていたが、捜査チームの尽力によって阻止することに成功した」と発表している。

DNA鑑定技術は飛躍的に進歩しており、近年では環境要因によってDNAが影響を受ける「DNAメチル化」という現象を利用して、一卵性双生児であってもDNAで鑑別できるような技術の開発も行われているが、鑑定対象者が若い場合ではDNAメチル化が進んでいないために鑑別が難しいという点や、開発には多くのサンプルが必要ということもあり、実用化はまだ難しいという。
科学的な捜査手法はここ数十年で大きく発展したが、未だに事件の解明には捜査官たちの粘り強さ情熱、そして正義への信念により成り立っていることを忘れてはならない。





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